今日も工作ではさみを使っている。
小学1年のとき、もう16年も前からずっとおなじやつだ。
このはさみはとても懐かしい。
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小学校で最初の授業がスタートするとき、「お道具箱」という、はさみやのりや定規といった基本的な道具がセットになった箱が必要だった。あらかじめ箱の中にいれる道具のセットを学校が販売していたのだけど、自分だけそれを買っていなかったみたいで授業開始の前日に親が焦って、頑張って文房具屋に一緒に買い集めにいった。
学校の授業が始まると、すぐに自分だけ道具が違っていたのがわかった。バラバラに集めたからだ。みんなはお揃いの、子どもに使いやすいようなむらさき色のはさみを持っている。自分のは文房具屋の緑のはさみ。前日の親の焦りなんて理解もできずに、ただみんなと違うはさみを使っていることにすこしだけ虚しさを感じていた。おなじ「はさみ」なのに。でもそれを6年間使った。
それから小学校を卒業して何年か経って、はさみを買った文房具屋が潰れたとき、すこし寂しかった。緑のはさみはまだあるのに。
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僕は今でもはさみが必要だし、その緑のはさみもまだ使えるので、ずっと使っている。
このはさみにはストーリーがたっぷりと、というわけではないけど、忘れられないエピソードが記録されていて、壊れたらきっとすごく悲しいだろうなと思う。
いま緑のはさみで段ボールを思いっきりばりばり切っていて、一瞬はさみの死がちらついたので急にノスタルジックになってしまった。